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12月6日 新国立劇場 「ばらの騎士」 [音楽]

作曲:リヒャルト・シュトラウス
台本:フーゴー・フォン・ホフマンスタール

完璧につくるのも考えものだ。

オペラを劇場の中で夢を紡ぐものというなら、この「ばらの騎士」ほど相応しいものはない。第3幕のドタバタ劇が終わると、至福の時がやってくる。

完璧に作曲したものだから、テレが出たのか、最後はからかうような終わり方をする。近代人の知性が邪魔をした。

指揮:ウルフ・シマー
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

このオペラはウィーン情緒が出ないと台無しだが、ウルフ・シマーの指揮は申し分がない。東フィルもよく応えていた。

元帥婦人:リカルダ・メルベート
オックス男爵:ユルゲン・リン
オクタヴィアン:ステファニー・アタナソフ
ゾフィー:コルダ・シュルツ
ファーニナル:クレメンス・ウンターライナー

歌手の出来栄えは凸凹があった。

(追記)

このオペラは、各幕とも”静-動ー静”で構成されている。前フリがあり、騒々しくなり、その後に静けさが訪れる。作劇術という点から考えても、非常に巧妙である。各幕とも、ヘソになる部分は最後にある。

第3幕は、三重唱+二重唱で感動を生み、第1幕は有名な元帥婦人のモノローグである。第2幕は騒動のもとになるオックス男爵の独唱である。ここは野暮なワルツが使われる。野暮なワルツだと思うが、妙に耳に残る。

第1幕で元帥婦人、第2幕でオックス男爵、第3幕でオクタヴィアンとゾフィーに光が当てられる。まんべんなく出番がまわるように配慮されている。

このオペラで一番出番が多いのがオクタヴィアンだが、案外、印象に残らない。ゾフィーも同じ。オクタヴィアン17歳、ゾフィー15歳である。はなたれ小僧とはなたれ娘の恋である。続かないよなぁ...元帥婦人にもわかっているが、抗しようがない。


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