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「コンドル」(ハワード・ホークス) [映画]

1939年製作。監督は、ハワード・ホークス。

南米で郵便飛行機を操縦するパイロットの物語。郵便飛行機なるものがあったことを知る。そういえば思い出したが、サン=テグジュペリに「夜間飛行」という小説がある。あれも郵便飛行士の話だった。

前半の40分を見ていて、これはジーン・アーサーがケーリー・グラントをハントする、ホークスお得意のマン・ハント映画だと思っていたら、後半は、この主役二人の影がうすくなってしまった。

脇役陣が充実している。かって事故で同僚をおいて脱出し、その同僚を死亡させたという汚名を持つ操縦士にリチャード・パーセルメス。1920年頃にリリアン・ギッシュとコンビを組んだ人気俳優だった。「散り行く花」とか「東への道」が有名。タイトルで俳優名を知っていなければ、それを判別できない変貌ぶりだ。

このリチャード・パーセルメスに弟を見殺しにされた兄にトーマス・ミッチェルが分している。「駅馬車」で酔いどれ医者を演じた役者で、ここでも見事な演技を見せる。

ホークス映画では「卑怯者」と烙印を押された男が名誉回復のため、命がけの行為にであることがあるが、この映画のリチャード・バーセルメスも同じである。

ということで、後半は、リチャード・パーセルメスとトーマス・ミッチェルの印象が強く、ケーリー・グラントとジーン・アーサーの恋愛は印象が薄くなる。

ホークス映画の魅力は、勝ち気な女をうまみに描くことにあるが、ジーン・アーサーは線が細すぎる気がする。もっとも池波正太郎は勝ち気な女優と云うことで誉めていたから見方が異なるのだろう。

リチャード・パーセルメスの妻に扮しているのがリタ・ヘイワースで、1940年代後半のハリウッドのセックス・シンボルだった。この映画ではまだ脇役である。
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「情婦」(ビリー・ワイルダー) [映画]

1957年製作。監督は、ビリー・ワイルダー。

主演は、マレーネ・ディートリッヒ、タイロン・パワー、チャールズ・ロートン、エルザ・ランチェスター。

アッと驚くドンデン返し映画。記憶に残っている限り、これが一番印象に残っている。次は、ヘンリー・フォンダとジョアン・ウッドワードが出演した「テキサスの五人の仲間」ということになろうか。

原作はアガサ・クリスティーの「検察側の証人」である。なんでこれが「情婦」という邦題になったものか。昔は色っぽい邦題が多かった、内容はたいしたことがないのに。映倫が厳しかったからね。せめて題名だけでも扇情的にしたかったのだろう。

冒頭から、退院した弁護士のチャールズ・ロートンと付添看護婦のエルザ・ランチェスターの掛け合い漫才から始まる。ビリー・ワイルダーらしいお笑い演出だ。

チャールズ・ロートンはイギリスの名優にして怪優である。エルザ・ランチェスターも怪女優である。実際、この二人は夫婦だった。どんな夫婦だったのだろう。家に招待されても行きたくないね。

本筋は、法廷劇だ。

ある未亡人が殺され、その家に出入りしていた青年(タイロン・パワー)が容疑者として逮捕される。おまけに未亡人の遺書で青年が8万ポンドの遺産を相続することが判明する。

青年の弁護を引き受けたチャールズ・ロートンは、証人に立った警部や家政婦の証言を打ち砕いていくが、しかし、3日目に検察側は意外な証人を立てる……。

ここから先は実際に見てもらうしかない。アレヨ、アレヨという展開に息をのむこと、間違いなし。その先にドンデン返しが待っている。

昔、映画館でこの映画を見たとき、ここで隣の人がビックリして飛び上がっていたな。ビックリして飛び上がることもあるのだと分かりました。

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「恐怖の報酬」(アンリ・ジョルジュ・クルーゾー) [映画]

1953年製作のフランス映画。監督は、アンリ・ジョルジュ・クルーゾー。

のちにウィリアム・フリードキンがハリウッドでリメイクしたが、このクルーゾーの作品より落ちる。フリードキンがリメイクしたのは、当時、このクルーゾーのフィルムが散逸してしまっていたからだ。その後にフィルムが発見され、我々はこの心臓の悪くなるようなサスペンスを味わうことができるようになった。

2時間半のうち、前半の1時間は、中南米の田舎町にたむろする祖国を失った者たちの空虚な生活を描く。これを描かないと、後半のニトロを運ぶ命がけの行為の説明がつかない。

ニトロはチョットした衝撃で爆発する。

ニトロを運ぶ恐怖は、4つの危機からなる。

①波形トタンの道を高速で突っ走ること。

②山道の曲り角を腐った橋を利用してカーブを切らなければならないこと。

③巨石が道を塞いでいるのをニトロで爆破すること。

④先導車が爆発事故を起こしたの油溜まりを通過すること。

この最後の危機を乗り越えた後、石油基地に行くまでの描写が長く、その間、シャルル・ヴァネルの扮する老親分が内臓破裂で衰弱死していく。この描写が克明である。

最後の恐怖の「報酬」はオチが過ぎると思う。
タグ:恐怖の報酬

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「科学者の道」(ウィリアム・ディターレ) [映画]

DVDで「科学者の道」を見る。ルイ・パストゥールの伝記映画だ。製作が1936年。監督がウィリアム・ディターレ、主演はポール・ムニ。

パストゥールの伝記映画だが、映画として面白くなるように脚色されている。1860年の産褥熱のエピソードから始める。

当時の医者の衛生観念は、今から見ると驚くべきもので、医療器具は使い回し、煮沸消毒もやらない。手も洗わない。これでは感染症で死ぬ者が続出しても当たり前だ。

パストゥールの敵対者となるシャーボネがいうように「ノミの1万分の1の大きさにすぎない生物が人間を殺すことはあり得ない。」と考えられていた。

時代は変り、衛生観念は格段に進歩した。医者ばかりではなく、普通の人間もアルコール消毒に余念のない昨今である。

映画は、1870年に飛んで炭疽菌のワクチンの発見。そして狂犬病ワクチンのエピソードを描く。パストゥールは化学者であって医者ではない。従って、医療行為を行うことは違法である。この相克が映画のクライマックスとなっている。

タグ:科学者の道

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箭弓稲荷神社 庭園 [雑感]

箭弓(やきゅう)稲荷神社まで外出。場所は東松山駅前。東武東上線の森林公園の手前である。横浜からは遠い。チョットした旅行である。

箭弓稲荷神社は、名前からの連想で、野球選手のお詣りが多い。

社殿は江戸時代のもので、重厚そのもの。神社も建築年代によって様々である。

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付属の庭園があった。庭園というと、すぐ好奇心が起きる。牡丹園である。

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牡丹の季節は過ぎてしまった。他にツツジもよさそうだが、ツツジの季節も終わってしまった。今年はコロナ禍で花を観賞する気が失せていた。いつの間にか、緑が濃い季節になっていた。

コロナ禍は収束する見通しがまったくたっていない。これからどうなるか、誰にも分からないのではないか。

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コロナ禍の最中に外出する知人がいた。これからのことを考えると、コロナで死んだ方が楽じゃないかという。

日本は高齢社会で、自粛により体力を失った老人が多い。みんなヨボヨボになってしまった。おまけに、多分、認知症も進行しているはずだ。

コロナの直接的影響より、コロナ後の社会崩壊の方が恐ろしい。違う?

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誰もなんとかなると思っているが、どうにもならないこともある…。







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