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東京オペラの森2018「ローエングリン」 [音楽]

2018年4月5日。17時~21時半。東京文化会館で「ローエングリン」をみる。演奏会形式である。

結論から言う。一昨年からワーグナーのオペラ(楽劇)を9回みたが、この演奏会が最も充実していた。

指揮:ウルフ・シルマー
管弦楽:NHK交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ

ローエングリン:クラウス・フロリアン・フォークト
エルザ:レジーネ・ハングラー
テルラムント:エギルス・シリンス
オルトルート:ペトラ・ラング
ハインリヒ王:アイン・アンガー
王の伝令:甲斐栄次郎

このオペラでは、オルトルート役に注目している。オルトルートの悪役ぶりがドラマを引き立たせる。その点、ペトラ・ラングのオルトルートはステージに登場したときから異様な雰囲気で申し分がなかった。メイクも工夫していたようである。

日本人歌手の歌唱力については不足感を感じることはないが、それでも日本人には無理だと思う歌い方もある。先日みた「ホフマン物語」でリンドルフを歌ったトマス・コニエチュニーがそうだった。この日のペトラ・ラングも毒気満杯で、同じような歌い方が出来る日本人女性歌手はいないと思う。

ローエングリンを歌ったクラウス・フロリアン・フォークトは当代随一のローエングリン歌手と言われている。去年「タンホイザー」をみたときは、自分の持つワーグナー歌手のイメージと違っていたので面食らったが、今回はそういうことはまったくなかった。

非常に甘美な声、滑らかな歌い方に聞こえる。新国立劇場の唱指揮者の三澤洋史が「オペラ座のお仕事」の中でフォークトの歌い方について述べている。要するに、チェンジ区域を感じさせないのだ。テノール歌手は、音域の真ん中に地声と裏声(倍音)のチェンジ区域があり、音程も音色も不安定になる。チェンジ区域を感じさせないのだから、滑らかにきこえるわけだ。




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