SSブログ

「砂の器」(野村芳太郎) [映画]

野村芳太郎監督の「砂の器」を見る。公開当時は大評判になった。出演は、丹波哲郎、松田健作、加藤剛。

何年か前に見ているが何年前だったかはもう忘れた。その後、私も日本全国を旅したので、こういう流浪の父子の姿を見ると、その情景がひとしお身に染みる。

内容については触れない。私が感心したのは、この映画の構成である。脚本を書いたのは、橋本忍と山田洋次である。

橋本忍は回想形式の達人だと思っている。回想形式により物語を凝縮する迫力はものすごい。

この映画は、前半は時系列的に進行する。ところが、後半は、いきなり容疑者の逮捕状が出たところから入る。逮捕状が出る経緯について回想され、オーケストラの新作発表会とカットバックされて映画が進行する。

この構成は何かに似ていない? 途中で、あぁ、「生きる」だと気が付いた。黒澤明の「生きる」は同じ構成をとっている。

前半は、志村喬の小役人が胃ガンで死ぬことを知り、彷徨する世界を描くが、後半はいきなり葬式の場面から入り、死に至るまでの志村喬の行動が描かれる。

「生きる」には橋本忍も脚本家として参加している。「生きる」のシナリオの構成は誰が主導したかわからないが、橋本忍の力が大きかったのではないだろうか。

1968年ごろか、橋本忍の講演会に出かけたことがある。もうとっくになくなっていると思っていたが、まだ存命している。1918年生まれだから、今年97歳である。



タグ:橋本忍
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0