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「七つの甘い吐息」(新潮文庫) [本]

新潮文庫の官能アンソロジー。

「双子の兄嫁」(櫻木充)  兄嫁と義理の弟の関係。近親相姦に近い。また童貞ものでもある。女性の下着に付着する淫臭にこだわるのは、官能小説に頻繁に出てくる。淫臭が嫌いな男もいるので、好みは様々というしかない。初体験にしては楽しんでいる。ラッキーだと思います。

「白い波に溺れて」(早瀬まひる)  女性作家。女性の一人称形式で描かれている。陵辱もの。心理の描写がすぐれているので、臨場感がある。官能小説はユルい文体のものが多いが、この小説は緻密に描かれている。

「女空手師範淫欲地獄」(白銀純)  題名通り、女性の空手師範が道場に通う男に敗れ、いいなりになる。緊縛ありの典型的なSM小説である。後半の蝋燭責めは珍しい。蝋燭責めは,SMプレイでもディープなものとされている。蝋燭の熱さが快感に転化するのだが、これをうまく描写している。蝋燭を挿入されて”人間燭台”として責められる場面を読んだのは久しぶりである。

「蜜のたくらみ」(山崎マキコ)  従兄弟で17歳の童貞坊やを弄ぶ28歳の女。坊やをロープで縛り付けて責める場面もあるから、これは女王様とM男の話である。女のエゴと助平が丸出しで、これはこれですごいものだ。女はラストで妊娠するが、この子は私以外の人間を知らないように飼育しよう、と陶然とする。独占欲の極地である。

 
「劣情ブルース」(睦月影郎)  昭和54年の話である。主人公は23歳。睦月影郎の略歴と重ね合わせると、これは著者のデビュー当時の生活を描いたものに思える。バイト先で知り合った人妻との交情。同じくバイト先で知り合ったお嬢様との幼い関係。お嬢様とは,最後まで行かずに、小説は終わっている。

「罪隠しの川」(内藤みか)  いわゆる官能小説という分野ではない。風俗小説。ゲイ男相手のホスト商売の青年とキャバクラ嬢の同棲生活。青年はバツイチ女と懇ろになるが、あくまでビジネスである。同棲相手のキャバクラ嬢も女がいることに気づくが、曖昧な未来のままで終わる。根無し草の感覚描写が優れている。

「ポルノグラフィア・ファンタスティカ」(鹿島茂)  著者は,19世紀フランス文学専門。大学教授。パリでピエール・ルイスの古本をあさっているうちにある古書店主に巡り会う。ピエール・ルイスのポルノ写真を見ているうちに古書店主の妻が同様のポーズをとる。エッセイ風だが、エロティックである。

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