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「ゲーテの警告」(適菜収) [本]

とんだ早合点で、本の中身を調べないで買ったのが間違いだった。

ゲーテの言葉にコメントをつけたものと勘違いしていた。実際は、著者の大衆社会論の論点に当てはまるゲーテの言葉を引用しているに過ぎない。

基本は、大衆社会論である。大衆社会論なら、オルテガの「大衆の反逆」という古典があるし、日本ならば、西部邁が数多く執筆している。

それに付け加える何があるだろうか。凡庸な人間が凡庸であることに満足し、支配する社会である。

過去の読書で知ったことをリピートしているだけというのが感想である。

ただ、この本の副題になっている「日本を滅ぼす『B層』の正体」については一考を要する。B層とは何か。

B層とは、マスコミ報道に流れやすい比較的IQの低い人、をいう。これは小泉首相の時に郵政選挙が行われたが、この時に広報作戦を担当した広告会社が作成したマトリックスによったものだ。

縦軸はIQ軸である。横軸は構造改革軸である。

A層は、IQが高く、構造改革にポジティブ。
B層は、IQが低く、構造改革にポジティブ。
C層は、IQが高く、構造改革にネガティブ。
D層は、IQが低く、構造改革にネガティブ。

あの郵政選挙が広告会社主導で行われたということが衝撃的だ。マーケティング理論を政治・選挙に適用している。

結局、郵政選挙はB層をターゲットに選挙運動を展開した。その結果は誰でもが知っている。自民党は大勝利を収めた。

こういうことだったのかと、知った。

選挙も広告会社の戦略に動かされることが多いことを知った。どういう宣伝活動をしたのかという内容を知りたければ、この本の冒頭を読んでみることだ。

いかに選挙民が操られているかを知ることができる。

以前にユーゴの内戦で戦争宣伝を担当する会社があることを知って驚いたことがあるが、この本を読むと、通常の選挙も同じなのかと思う。

ネットの時代である。大衆を操る技術はなお発達していると認識すべきだろう。
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