「帝国海軍の勝利と滅亡」(別宮暖朗) [本]
帝国海軍がどのようにしてできたか、どのように滅びたかを記述する。
帝国海軍を作り上げたのは山本権兵衛であり、帝国海軍を滅亡させたのは山本五十六である。二人の「山本」が帝国海軍を作り滅亡させた。
この本の特徴を一言でいえば、ズバリ、山本五十六愚将説というところにある。
後書きに書いているが、二十世紀の一番愚かな、または騒がせた軍人は誰かと問われれば、ドイツ陸軍参謀シュリーフェンと山本五十六をあげたいという。
山本五十六はまだ人気があるから愚将説には抵抗があるだろうが、この本を一読した限りでは帝国海軍の奇妙さが印象に残る。
ともかく戦前の「軍部」というが、そもそも「軍部」なるものが存在したのかどうか。帝国陸軍と帝国海軍は確かに存在した。しかし、帝国軍は存在しなかった。太平洋戦争が終わるまで統一した軍令部は存在しなかった。これでよくアメリカと戦えたものだと思う。
帝国海軍についていえば、結局、艦隊決戦思想にとらわれすぎていたことが分かる。艦隊決戦思想の源をたどれば、日本海海戦の大勝利に行き着く。
日本海海戦の勝利がその後の帝国海軍の思想を束縛した。流動的に世界の変化を見る目を失わせた。 「成功は失敗のもと」であった。
帝国海軍を笑うことはできない。現に、今も、我々は同じく、過去の成功体験に束縛されているかもしれないからだ。
帝国海軍を作り上げたのは山本権兵衛であり、帝国海軍を滅亡させたのは山本五十六である。二人の「山本」が帝国海軍を作り滅亡させた。
この本の特徴を一言でいえば、ズバリ、山本五十六愚将説というところにある。
後書きに書いているが、二十世紀の一番愚かな、または騒がせた軍人は誰かと問われれば、ドイツ陸軍参謀シュリーフェンと山本五十六をあげたいという。
山本五十六はまだ人気があるから愚将説には抵抗があるだろうが、この本を一読した限りでは帝国海軍の奇妙さが印象に残る。
ともかく戦前の「軍部」というが、そもそも「軍部」なるものが存在したのかどうか。帝国陸軍と帝国海軍は確かに存在した。しかし、帝国軍は存在しなかった。太平洋戦争が終わるまで統一した軍令部は存在しなかった。これでよくアメリカと戦えたものだと思う。
帝国海軍についていえば、結局、艦隊決戦思想にとらわれすぎていたことが分かる。艦隊決戦思想の源をたどれば、日本海海戦の大勝利に行き着く。
日本海海戦の勝利がその後の帝国海軍の思想を束縛した。流動的に世界の変化を見る目を失わせた。 「成功は失敗のもと」であった。
帝国海軍を笑うことはできない。現に、今も、我々は同じく、過去の成功体験に束縛されているかもしれないからだ。
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