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「ひみつのとき」(神崎京介) [本]

神崎京介の小説を読むのは,初めてである。女薫シリーズは超長期の連載で、これをみても,人気官能作家なのだろう。

この「ひみつのとき」は2003年の執筆。

期待していたのだが…。


専業主婦で,子供なし。32歳。結婚して6年。セックスレス。メールで知り合った男とセックスに耽る。

話としては、これだけ。1年間の出来事である。

読後感は、掴み所がないというのか、理詰めで抽象的な話を読んだ気がする。確かにセックス描写は入念であるけれども、現実感が起きない。楽しめない。

理由は,多分、主人公の奈央子の容貌が描かれていないからである。容貌がわからなければ、想像する余地は乏しい。

どうしてこんな書き方をしたのだろうか。

男と初めて出会うときの入念な描き方。不安と躊躇を描きたかったのだろうか。ホテルに入り、キスして、フェラして、クンニして…。ここまでで半分を費やす。100ページである。

そのあとのインサートは省略している。この構成には驚く。

次は,いきなり不機嫌な夫が登場する。バレたわけではなく、もともと夫婦関係が不機嫌なものだった。

これじゃあなぁ。夫との関係を解決するのが本星だろうが、結婚生活も6年となると、惰性になってしまうようである。夫との関係は脇に置いて、メル友と出会いを重ねる。重点の起き方を間違えている。これでは,結末が示すように、男と別れても,別の男を求めるようになってしまう。



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