林試の森公園

－暑いのに出かけたのですか？

－ああ。林試の森公園へ。

－林試の森公園？　ヘンな名前ですね。

－林業試験場の略だよ。

－どこにあるんですか？

－いちばん近い駅は武蔵小山だろう。目黒不動尊とも目と鼻の距離だね。

－どうしてまた、そんなところへ。

－暑い。家にいると、気が鬱ぐ。鬱病の気が出てきたらしい。ということで、外出した。東京の区分地図を持って出た。家を出る時点ではどこへ行くとも決めていなかった。東京のどこか、ということだ。

ー目的地を決めないで外出する。それで面白いのかなぁ。

－そういうことは考えない。どこかへ着くわけだし、その時にどう感じるかはわからない。成り行き任せだ。

－で、どうして林試の森公園へ行くことになったのですか。

－区分地図を見て、学芸大学と武蔵小山が案外と近いことに気づいた。歩いたら、どんなものかと思った。以前、学芸大学から三軒茶屋まで歩いたことがあった。それで反対方向の武蔵小山まで歩こうと思ったのかもしれない。

　武蔵小山まで歩く途中に林試の森公園公園があったので寄ってみたんだ。公園はいい。好きだよ。繁華街より公園の方がよくなった。

－木は多かったんでしょうね。

－ゆっくりと寝転がっていられたらよかったね。ヤブ蚊がいたようだ。

－ムシは苦手です。

－今は季節的にどうなのか。暑かったし。汗びっしょりだった。もう少し涼しくなってからの方がいい。やや細長の公園だったね。

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