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DVD「フレンチ・コネクション」 [映画]

1971年製作。アカデミー賞作品賞受賞。

「ブリット」と続けて見たのだが、プロデューサーが同じだったとは知らなかった。フィリップ・ダントーニが製作している。刑事映画という点では共通している。「ブリット」はカッコイイ刑事だったが、この映画の”ポパイ”刑事ははなはだ風采が上がらない。対照的だ。

抜群に面白い映画であるけれども、アカデミー賞作品賞を受賞した理由は1971年のアメリカの社会風潮を理解しないと難しいのではないだろうか。

ヴェトナム戦争末期で、アメリカの威信も地に落ちつつあった。そういう時代が背景にある。

この映画はニューヨークの現地ロケ場面が多く、いわば下町が多い。ラストはがらんどうの廃屋となった工場の中での銃撃戦である。冴えない風景ばかりをバックにしている。

こういってはなんだが、アメリカ人は心の底ではコンプレックスがある。食い詰めもの、貧乏人が移住して出来た国だから、欧州に対するコップレックスがある。アメリカが№1だと声高にいわないと気が済まないのはコンプレックスがあるからだ。

フランスに対するコンプレックスが一番強いかもしれない。フランスの人権思想に触発されてアメリカができたのであり、独立戦争に際してはフランスの援助が効果的だったからである。フランスから贈られた自由の女神像がアメリカの象徴ということになっているが、これもフランス・コンプレックスのあらわれだろう。

この映画ではフランスの麻薬組織が登場するが、このフランスに対する思いが理解できないと、この映画の底に流れるものを理解できない気がする。

当時、象徴的場面といわれたのは、麻薬密売人のフランス人フェルナンド・レイがレストランで豪華な食事をとるのに対し、それを見張るポパイ刑事は寒風の中でホットドッグを食べる場面である。この対比がわからないと、この映画は単なる面白い刑事映画として終わってしまう。

下町の汚い商店街になぜかアメリカ国旗がぶら下がっていたり、麻薬の受け渡しを相談するためにわざわざワシントンまで行く。警察の目をくらますためということもあるだろうが、なぜワシントンなのか? この場面ではあのワシントン記念塔がくっきりと映し出される。

主人公の刑事のあだ名が「ポパイ」である。ポパイはアメリカ男子の力の象徴でしょう。

詮索すると、謎の多い映画である。
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