SSブログ

16日 新国立劇場「椿姫」 [音楽]

11月16日。新国立劇場オペラハウスで「椿姫」をみる。

指揮:リッカルド・フリッツァ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

演出・衣装:ヴァンサン・ブサール

ヴィオレッタ:イリーナ・ルング
アルフレード:アントニオ・ポーリ
ジェルモン:ジョヴァンニ・メオーニ

新国立劇場は、初日、夜の公演である。あとは昼の公演となる。客席はほぼ埋まっていた。昼の公演の方があとに余裕があって便利だ。

実は「椿姫」には関心がなかった。何故見に行ったかというと、指揮者のリッカルド・フリッツァに関心があったからである。

新国立劇場の合唱指揮者は三澤洋史だが、「オペラ座のお仕事」(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)というエッセーを書いている。オペラの舞台裏がわかる面白いエッセーだが、このエッセイの中で、フリッツァとの確執が記されている。(P.77~P.92。)ここは面白い箇所である。その主人公のフリッツァが指揮するということでチケットを購入した。

リッカルド・フリッツァと三澤洋史は当初は対立したが、その後は互いに認め合う関係になった。もちろん今回の上演でもカーテンコールで手を組んでいた。

ヴィオレッタ役のイリーナ・ルングは最初は調子が出ず、声が伸びなかった。どうなることかと心配したが、すぐに回復した。初日だから仕方ない。ジョヴァンニ・メオーニのジェルモンも堂々と歌っていたが、もう少しドスが欲しかった。

演出について。

この演出では、ヴィオレッタは死は明らかにされていない。「わたしは、生きかえるのよ」と手を上げたところで真っ暗になって幕が下りた。医師の「ご臨終だ」という歌詞がカットされている。

第3幕は、大きな丸い円で囲まれた舞台である。この円は、第1幕への前奏曲の間に映し出されたものと同じである。その円の中に墓銘が浮かび出る。

最初に墓銘が出るのだから、このオペラの演出は回想形式である。この墓に刻まれた女の過去を回想する形になっている。

第3幕はヴィオレッタだけに照明が当たり、アルフレードもジェルモンも網の中にいる。妙な演出だが、第3幕は、全体がヴィオレッタの妄想だと受け止めた。従って、アルフレードがやって来て愛を語り合うことはなかったし、ジェルモンが赦しを乞うこともなかった。みんな、死ぬ間際のヴィオレッタの妄想である。

プログラムを読めば演出の意図も解説されているだろうが、プログラムは買わないことにしている。舞台を見た限りでは、こういう解釈になった。



共通テーマ:音楽