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映画「哀愁」 [映画]

懐かしのメロドラマである。メロドラマの古典である。1940年製作。監督はマーヴィン・ルロイ。主演は、ロバート・テイラーとヴィヴィアン・リー。1940年というと、第2次世界大戦は始まっていたが、アメリカはまだ参戦していなかった。

名門貴族の軍人と薄幸のバレリーナの恋を描く。

この映画でもっとも有名なシーンは、「蛍の光」にのって若い二人が踊り、一つ一つロウソクが消されていくところである。セリフなしで、ググッと情感が盛り上がる。

セリフなしになったのは、マーヴィン・ルロイの奥さんの助言による。監督やプロデューサーや脚本家が、ここで二人にどういうセリフを言わせようかと悩んでいたら、「言葉なんか要らないでしょ」と云ったとか。これで屈指の名場面ができあがった。

こういうメロドラマは、今では古いかな。…しかし、今回のコロナウィルス禍で人の心も感性も変っていくかもしれない。

メロドラマで何度も見たい映画もあるが、この「哀愁」に関しては、見たくない部類に入る。なんというのか、ヴィヴィアン・リーの演技が重すぎるからだ。このヒロインの年齢は18歳ぐらいだろう。純情可憐というイメージがふさわしいと思うが、ヴィヴィアン・リーの演技は成熟した女性を感じさせる。ふさわしくない。

モノクロの画面は素晴らしい。俳優の撮り方の気品といい、省略の仕方といい、奥ゆかしさがある。現代は「真実」の時代である。真実を追究することにより失われたものがある。

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