SSブログ

映画「英国王のスピーチ」 [映画]

2010年の作品。アカデミー賞作品賞を受賞した。

英王室の内幕ものである。こういうことを描いて、英王室は抗議しなかったのだろうか。英王室は懐が深い。

主人公はジョージ6世。現在のエリザベス女王の父君である。吃音症に悩んでいた。吃音症と云えば聞こえがいいが、要するにドモリである。

ドモリの治療のために色々な医者にかかったが、すべて失敗。妻は、新聞広告で知った治療師を訪ねる。ライオネル・ローグという。公的な資格はなく、しかもオーストラリア人である。

民間の自己流の治療法をあみ出した人物であるから、ある面、いかがわしい。信用されにくい。結局、ドモリの治療に成功するのだが、これは色々と考えさせられる。

精神分析の面から考えると、このジョージ6世は、権威主義的な父親に抑圧されてコンプレックスが生じた。それがドモリの原因となった。

公的な治療では効果がなかったのは、治療する医師の権威主義的な態度にコンプレックスを感じたからだろう。

それが得体の知れないオーストリア人の前ではコンプレックスを感じなくてすんだ故に、治療が成功した。

クライマックスは、ナチスに対する宣戦布告をイギリス国民に放送する場面だ。

第二次世界大戦中、国王のスピーチにはライオネル・ローグが付き添ったという。ライオネル・ローグは功労者だったのか。

他の王室関係者、あるいは政治家はどう思っていたのだろうかと考えてしまう。まかり間違えば、ラスプーチンのようになったかもしれない。

王になりたくなかった男が王になり、第二次世界大戦の苦難の最中、国民を鼓舞した。

ジョージ6世は若くして死んだが、戦争で神経を消耗してしまったのだろう。戦争は過酷である。ライオネル・ローグはジョージ6世の死後まもなくして死んだ。単純な死だったのだろうかと疑ってしまう。

この映画はアカデミー作品賞を受賞したが、ハリウッドには根強いイギリス・コンプレックスがあると思う。王室・貴族に対するコンプレックスも間違いなく存在する。

イギリスではこのような映画が製作される。王室の内幕もわかる。ジョージ6世は、召使いの「手ほどき」を受けたというセリフがある。王子たちの初体験はいかになされるか、分かるだけでも貴重である。

日本では、こういう映画は製作できない。公的な側面に関しては映画化されることもあり得るが、私生活は描けない。



そういえば、昭和天皇の実録が今秋から公開されるという記事を読んだ。昭和史の研究がすすむことだろう。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0